はじめての四国遍路!お遍路とは?服装や回り方、マナーに見どころまでご紹介!

弘法大師・空海が修行をした四国八十八ヶ所の霊場を巡る四国遍路。
元々は修行僧の巡礼が中心でしたが、現在では健康祈願や先祖供養といった信仰的なものから、自分探しや霊場・パワースポット巡りといった観光的な巡礼も増えています。
この記事では、「遍路って何?」といったお遍路がはじめての方の疑問にお答えします!ぜひ、自分に合った旅のスタイルでお遍路を楽しんでくださいね。

お遍路とは?

お遍路とは、約1200年前に弘法大師・空海が四国に開いた八十八ヶ所の霊場を巡ることです。
空海ゆかりの八十八ヶ所の札所(お寺)を巡ることで心の中の煩悩を取り除き、願い事が叶ったりご利益をいただけるともいわれています。
通常、第1番札所 霊山寺(徳島県)から第88番札所 大窪寺(香川県)までを番号どおりに巡ります(「順打ち」)。

第88番札所から巡る、逆打ちもある!?

第88番札所から巡る、逆打ちもある!?

第88番札所から第1番札所へと巡ることを「逆打ち」といいます。
閏年(うるうどし)は「逆打ちの年」とされていて、閏年に逆打ちで巡ると、今でも順打ちでお遍路を巡り修行している弘法大師に巡り会えるという言い伝えがあり、ご利益も順打ちの3倍にもなるといわれています。

お遍路の目的、ご利益は?

お遍路の目的も多様。故人の冥福を祈る「追善供養」や生前に自分の死後の冥福を祈る「予修供養」、ほかにも自分探しや癒やし・リフレッシュなど、目的は人それぞれで大丈夫。
また、地元の人のあたたかさにふれるのもお遍路の魅力のひとつです。
お遍路を始めるのに身構える必要はありません!

まずはここから!初心者・最初のお遍路におすすめの巡り方

全ての札所を1回で巡ることを「通し打ち」といいますが、いきなり八十八ヶ寺も巡るのは大変…なので、まずは短い時間で巡るのがおすすめ!
ひとつの県をひとつの国として巡る「一国まいり」や、何回かに分けて巡る「区切り打ち」などの巡り方のほか、1日で巡れるものもあるので、最初のお遍路にピッタリです。
徳島五ヵ所まいり(徳島県)
四国遍路で八十八ヶ所全ての霊場を巡ると、歩き遍路の場合1ヶ月以上かかります。徳島市内には隣接した5つの札所(第13番札所から第17番札所)を巡る「五ヶ所まいり」があり、1日ゆっくり歩きながら気軽にできるお遍路となっています。
善通寺七ヶ所まいり(香川県)
1日で巡礼できるお遍路コース。「七ヶ所まいり」は、弘法大師・空海の生まれ故郷の善通寺市周辺にある第71番札所から第77番札所まで7つのお寺を巡ります。
車や自転車を利用すれば1日で巡ることができますが、徒歩で善通寺の宿坊に1泊しながらの巡拝もおすすめです。
東讃五大寺まいり(香川県)
「あがり五大寺まいり」ともいいます。お遍路の最後第84番札所から第88番札所の五つのお寺を徒歩で1日半、車だと1日くらいで巡ります。のどかな景色に触れながら、ゆっくり巡ることができます。

四国八十八ヶ所霊場すべてを一度に礼拝できる!?善通寺 お砂踏み道場

四国八十八ヶ所霊場すべてを一度に礼拝できる!?善通寺 お砂踏み道場

弘法大師・空海が誕生した地にある第75番札所 善通寺では、八十八ヶ寺すべてを一度に礼拝できるののだとか!
善通寺にある「お砂踏み道場」では、四国八十八ヶ所霊場の各寺院の御本尊の写しをお祀りした正面に、各寺院境内のお砂が敷かれています。
その砂を踏みながら礼拝していくことで、各霊場を巡拝するのと同じ徳を積むことができるとのことです。

いつ巡るのがいい?おすすめの時期は?

お遍路におすすめの時期は春(3月~6月)と秋(9月~11月)。
一般的に歩いて巡るお遍路では、気候も暑すぎず寒すぎずで比較的歩きやすいシーズンといえます。
自然豊かな四国の、春には新緑や桜、秋には紅葉を眺めながらのお遍路もまた素敵な思い出になることでしょう。

徒歩、車、鉄道、サイクリング、ツアーバスなど、巡り方は色々!

徒歩、車、鉄道、サイクリング、ツアーバスなど、巡り方は色々!

お遍路を巡る方法は1つではありません!徒歩で巡る「歩き遍路」に、ドライブしながら巡る「車遍路」、海岸沿いや景色を楽しみながらサイクリングで巡る「サイクリング遍路」や、ツアーバスで巡るのもおすすめですよ♪
四国の巡り方をまとめた特集記事なども参考に、お遍路と四国周遊を検討してみてはいかがでしょうか?

四国遍路に便利な観光マップは以下からダウンロードいただけます。
四国遍路へ出かけよう
四国観光ガイドマップ
四国88NAVI(公共交通機関で巡る方におすすめ)
 

参拝方法、作法・マナー

参拝の流れは次のとおりです。正しい手順で心を静めてお参りしましょう。詳細については、四国八十八ヶ所霊場会(0877-56-5688)の公式HPでご覧いただけます。

① 山門:山門の前で本堂に向かって一礼する
② 水屋:手を洗い口をすすいで、体を清める。
    また輪袈裟を掛けたり数珠の準備をする。
③ 鐘楼:鐘をつく。
※ 参拝後につくのは「戻り鐘」といい縁起が悪いとされています。
④ 本堂:納札箱に納札や写経を納める。
     灯明、線香をあげ、お賽銭を納めたら合掌の後、読経する。
⑤ 大師堂:本堂と同様に参拝、読経する。
⑥ 納経所:納経帳に御朱印(有料)をいただく。
⑦ 山門:山門を出るときに振り返り一礼する。

また、参拝手順とともにマナーも大切です。次の注意事項に注意しながら気持ちよくお参りしましょう。

➀ 参拝時の服装
… 正装の白衣(びゃくえ)以外の普段着でお参りする場合は肌の露出が多いもの(例:タンクトップ、キャミソール、短パン、ミニスカート、サンダルなど)は注意しましょう。羽織ることができる上着があると便利です。
② 菅笠以外の帽子は参拝や納経所で脱ぐ
③ もらい火はしない
④ トイレに菅笠や金剛杖を持ち込まない
… 遍路用品は神聖なものです。
⑤ 杖の上部は握らない
… 金剛杖の上部は卒塔婆(そとば)になっていて仏様のお体を示しているので掴んではいけません。
⑥ 橋の上では杖を突かない
⑧ 撮影禁止区域での撮影禁止
⑨ 納経所で両替のお願い
… お賽銭など、予め多めの小銭を用意しておいてください。
⑩ 宿についたら、金剛杖を洗う

十善戒(じゅうぜんかい)

十善戒(じゅうぜんかい)

十善戒は仏教における10の悪い行いを否定形にして、戒としたものです。お遍路を巡るときだけでなく、日々の暮らしの中で、心がけたい戒となっています。

一、不殺生(ふせっしょう)
  生きるものすべての命を大切にする。
二、不偸盗(ふちゅうとう)
  物を盗まず、他人のものを大事に扱う。
三、不邪淫(ふじゃいん)
  性は尊いものであり、節度をもって性を考える。
四、不妄語(ふもうご)
  うそ、偽りはいわず、真実を話すことを心がける。
五、不綺語(ふきご)
  虚飾のことばは話さず、飾らない本当のことばで話す。
六、不悪口(ふあっく)
  悪口は言わず、相手を思いやることばで話をする。
七、不両舌(ふりょうぜつ)
  どの人に対しても、二枚舌を使わず、温かな気持ちで話す。
八、不慳貪(ふけんどん)
  強欲をはり、貪ることなく、感謝の気持ちで過ごす。
九、不瞋恚(ふしんに)
  怒りをおさえ、心を落ち着けて、優しい気分で過ごす。
十、不邪見(ふじゃけん)
  邪な間違った考えを捨て、どの人にも平穏な気分で接する。

巡礼の服装は?

お遍路といえば、白い服に笠と杖といった服装をイメージする方も多いのではないでしょうか?
道具は必須ではありませんが、道具を揃えれば改まった気持ちで巡礼することもできるでしょう。
まずは、菅笠(すげがさ)、金剛杖(こんごうづえ)、白衣(びゃくえ)の3点セットがあれば、すっかり、写真のようなお遍路さんのファッションに!
他にも、輪袈裟(わげさ)や数珠(じゅず)、納経帳(のうきょうちょう)など様々な道具がありますが、すべてを揃える場合でも1万円ほどで準備できます。
はじまりの第1番札所 霊山寺や一部の札所、四国内の仏具屋のほか、インターネットでも購入できます。

とはいっても、節度を守れば、一般的なハイキング用のファッションなどでも問題ありません!お気軽に訪れてみてくださいね。

宿坊に泊まろう!

もともと宿坊は、修行中の僧侶が宿泊する施設でしたが現在では一般の参詣者も宿泊できます(要事前予約)。
お寺に泊まるといっても、部屋は個室でプライベートもしっかり守られているお寺がほとんど。女性の方でも安心して利用することができます。
夕飯に精進料理をいただくことで、一品一品、命の尊さや大地への感謝が自然と心に湧いてきます。また、宿坊では早寝早起きが基本。早起きをして勤行に参加し、精進料理の朝食をいただくことで、体も心もスッキリとした感覚に。次の札所までの足取りも軽く感じられそうです。

その他、温泉旅館や見どころ満載のホテルも数多くある四国、遍路と一緒に泊まる場所を選ぶのも楽しみのひとつです!

2025年1月現在、営業している宿坊は下記のとおりとなっています。
(徳島県)
第6番 安楽寺: 088-694-2046
第7番 十楽寺 : 088-695-2150
第19番 立江寺 : 0885-37-1019(代) ※予約は1ヶ月前から
(高知県)
第24番 最御崎寺: 0887-23-0024
第37番 岩本寺 : 0880-22-0376
(愛媛県)
・第44番 大賽寺: 0892-21-0044 ※公式サイトなし
第58番 仙遊寺 : 0898-55-2141
※3月までは予約受付なし。4月以降から団体を中心に受入れ。
※個人の場合は団体枠が空いている場合に可能。
(香川県)
第75番 善通寺 : 0877-62-0111(代)  

八十八ヶ所で終わりじゃない!? 次は、和歌山・高野山へ?

八十八ヶ所の札所を全て巡拝し終えることを「結願」といい、四国遍路としてはそこで終わり。かと思いきや、実は弘法大師が創建した和歌山県の「高野山 金剛峯寺」へお礼参りをする「満願」という行程があります。
お遍路を開いた弘法大師へのお礼参りに、ぜひ最後は高野山も訪れてみてください。

「同行二人」とお礼参り

「同行二人」とお礼参り

「同行二人」とは、お遍路中は決して一人でなく、常に弘法大師様がそばにいて護ってくれているということです。また、普段の生活の中でも生きることは決して一人ではなく、誰かが共にいてくれることを日々感謝をしながら生きていくという仏の教えに繋がっています。こうしたことからも最後にお礼参りまで検討してみてはいかがでしょうか?

マップなどはこちら

四国遍路に便利な観光マップなどです。是非ご活用ください。

四国遍路へ出かけよう
四国観光ガイドマップ
四国88NAVI(公共交通機関で巡る方におすすめ)
※掲載のマップは四国運輸局発行「四国88NAVI」から引用したものです。


四国の全八十八ヶ所霊場を一挙ご紹介!

四国八十八ヶ所霊場を一気にご紹介します!
各遍路寺の「もっと見る」から詳細をご覧いただけます。なお、下記をクリックいただくと該当の場所までスクロールされます。
発心の道場(徳島県):第1番札所~第23番札所
修行の道場(高知県):第24番札所~第39番札所
菩提の道場(愛媛県):第44番札所~第65番札所
涅槃の道場(香川県):第66番札所~第88番札所
第1番札所 竺和山 一乗院 霊山寺
 
第2番札所 日照山 無量寿院 極楽寺
 
第3番札所 亀光山 釈迦院 金泉寺
 
第4番札所 黒巌山 遍照院 大日寺
 
第5番札所 無尽山 荘厳院 地蔵寺
 
第6番札所 温泉山 瑠璃光院 安楽寺
 
第7番札所 光明山 蓮華院 十楽寺
 
第8番札所 普明山 真光院 熊谷寺
 
第9番札所 正覚山 菩提院 法輪寺
 
第10番札所 得度山 灌頂院 切幡寺
 
第11番札所 金剛山 一乗院 藤井寺
 
第12番札所 摩廬山 正寿院 焼山寺
 
第13番札所 大栗山 花蔵院 大日寺
 
第14番札所 盛寿山 延命院 常楽寺
 
第15番札所 薬王山 金色院 國分寺
 
第16番札所 光耀山 千手院 観音寺
 
第17番札所 瑠璃山 真福院 井戸寺
 
第18番札所 母養山 宝樹院 恩山寺
 
第19番札所 橋池山 摩尼院 立江寺
 
第20番札所 霊鷲山 宝珠院 鶴林寺
 
第21番札所 舎心山 常住院 太龍寺
 
第22番札所 白水山 医王院 平等寺
 
第23番札所 医王山 無量寿院 薬王寺
 
第24番札所 室戸山 明星院 最御崎寺
 
第25番札所 宝珠山 真言院 津照寺
 
第26番札所 龍頭山 光明院 金剛頂寺
 
第27番札所 竹林山 地蔵院 神峯寺
 
第28番札所 法界山 高照院 大日寺
 
第29番札所 摩尼山 宝蔵院 国分寺
 
第30番札所 百々山 東明院 善楽寺
 
第31番札所 五台山 金色院 竹林寺
 
第32番札所 八葉山 求聞持院 禅師峰寺
 
第33番札所 高福山 幸福院 雪蹊寺
 
第34番札所 本尾山 朱雀院 種間寺
 
第35番札所 醫王山 鏡池院 清瀧寺
 
第36番札所 独鈷山 伊舎那院 青龍寺
 
第37番札所 藤井山 五智院 岩本寺
 
第38番札所 蹉跎山 補陀洛院 金剛福寺
 
第39番札所 赤亀山 寺山院 延光寺
 
第40番札所 平城山 観自在寺
 
第41番札所 稲荷山 龍光寺
 
第42番札所 一カ山 毘盧舎那院 仏木寺
 
第43番札所 源光山 円手院 明石寺
 
第44番札所 菅生山 大覚院 大寶寺
 
第45番札所 海岸山 岩屋寺
 
第46番札所 医王山 養珠院 浄瑠璃寺
 
第47番札所 熊野山 妙見院 八坂寺
 
第48番札所 清滝山 安養院 西林寺
 
第49番札所 西林山 三蔵院 浄土寺
 
第50番札所 東山 瑠璃光院 繁多寺
 
第51番札所 熊野山 虚空蔵院 石手寺
 
第52番札所 龍雲山 護持院 太山寺
 
第53番札所 須賀山 正智院 円明寺
 
第54番札所 近見山 宝鐘院 延命寺
 
第55番札所 別宮山 金剛院 南光坊
 
第56番札所 金輪山 勅王院 泰山寺
 
第57番札所 府頭山 無量寿院 栄福寺
 
第58番札所 作礼山 千光院 仙遊寺
 
第59番札所 金光山 最勝院 国分寺
 
第60番札所 石鈇山 福智院 横峰寺
 
第61番札所 栴檀山 教王院 香園寺
 
第62番札所 天養山 観音院 宝寿寺
 
第63番札所 密教山 胎蔵院 吉祥寺
 
第64番札所 石鈇山 金色院 前神寺
 
第65番札所 由霊山 慈尊院 三角寺
 
第66番札所 巨鼇山 千手院 雲辺寺
 
第67番札所 小松尾山 不動光院 大興寺
 
第68番札所 七宝山 神恵院
 
第69番札所 七宝山 観音寺
 
第70番札所 七宝山 持宝院 本山寺
 
第71番札所 剣五山 千手院 弥谷寺
 
第72番札所 我拝師山 延命院 曼荼羅寺
 
第73番札所 我拝師山 求聞持院 出釈迦寺
 
第74番札所 医王山 多宝院 甲山寺
 
第75番札所 五岳山 誕生院 善通寺
 
第76番札所 鶏足山 宝幢院 金倉寺
 
第77番札所 桑多山 明王院 道隆寺
 
第78番札所 仏光山 広徳院 郷照寺
 
第79番札所 金華山 高照院 天皇寺
 
第80番札所 白牛山 千手院 国分寺
 
第81番札所 綾松山 洞林院 白峯寺
 
第82番札所 青峰山 千手院 根香寺
 
第83番札所 神毫山 大宝院 一宮寺
 
第84番札所 南面山 千光院 屋島寺
 
第85番札所 五剣山 観自在院 八栗寺
 
第86番札所 補陀洛山 志度寺
 
第87番札所 補陀落山 観音院 長尾寺
 
第88番札所 医王山 遍照光院 大窪寺