第14番札所 盛寿山 延命院 常楽寺

【寺の歴史】
四国霊場のなかで唯一、弥勒菩薩を本尊としています。弥勒菩薩は釈迦入滅後も衆生の救済を考え続け、56億7千万年後に出現するとされています。京都・広隆寺の弥勒像は国宝です。片膝を立て右手で頬をささえた半跏思惟像であり、そのやさしく美しい表情は、まさにお大師さまとともに光明を授けてくれる仏様です。

縁起では、弘法大師が42歳の厄年のころ、この地で真言の秘法を修行していたときに、多くの菩薩を従えて化身した弥勒さまが来迎されたといいます。弘法大師はただちに感得すると、そばの霊木に尊像を彫造し、建立した寺の本尊にしました。御遺告の一説において「吾れ閉眼の後、兜率天に往生し弥勒慈尊の御前に侍すべし。56億余の後、必ず慈尊と御共に下生し、吾が先跡を問うべし…」と、この本尊について弘法大師が触れています。常楽寺への篤い思いが偲ばれます。

後に、弘法大師の甥・真然僧正が金堂を、高野山の再興で知られる祈親上人が講堂や三重塔、仁王門が建てました。その結果、常楽寺は七堂伽藍がそびえる大寺院となり、室町時代には阿波守護大名の祈願所にもなった。しかし、天正の兵火により焼失し灰燼に帰しています。江戸時代（1603-1868）初期には復興、1818年には谷地から、石段を約50段のぼった「流水岩の庭」近くに移っています。奇形な岩盤の断層が重なる「流水岩の庭」。自然の美しさにとけ込む魅力を醸し出しています。

【常楽園】
常楽園は1955年に、戦災孤児のための社会福祉施設として設立しました。1963年、社会福祉法人認可。1歳から18歳まで の子供たちを支援しています。四国霊場ただひとつの児童養護施設です。

【アララギ大師】
アララギ大師は本堂右側 にある、樹周8メートル、高さ10メートルの巨木です。糖尿病平癒の祈願を受けています。

【その他見どころ】
・地蔵菩薩像（本堂前にあります。子供の寝しょうべん、夜泣き、歯痛、足の痛み治癒の祈願を受けます）