第11番札所 金剛山 一乗院 藤井寺

【寺の歴史】
全長236キロ、四国最大の吉野川が阿波の北部を貫流しています。阿波中央橋を南に渡り3キロほど進むと、藤井寺の山門が見えてきます。弘法大師がこの三方を山に囲まれ、渓流の清らかな仙境に惹かれたのは815年のこと。弘法大師は42歳の厄年に当たり、この地で護摩修法をしました。自らの厄難を祓うため、そして衆生の安寧のため、薬師如来像を彫造し堂宇を建てました。薬師如来像を彫造し、堂宇を建てました。その地からおよそ200メートル上の8畳岩に、金剛不壊といわれる堅固な護摩壇を築き、17日間の修行をしたといいます。その堂宇の前に5色の藤を植えたという由緒から、金剛山藤井寺と称されるようになりました。

寺は、真言密教の道場として栄え、七堂伽藍を構える大寺院として発展しました。ですが、天正年間（1573-92）の兵火により全山を焼失、江戸時代初期まで衰微しました。その後、1674年に阿波藩主が帰依していた臨済宗の南山国師が再興し、宗派を臨済宗に改めています。1832年に再び火災に遭い本尊以外すべて失われました。現在の伽藍は、1860年に再建されたもの。本尊は国の重要文化財として指定されており、「厄除け薬師」として今でも親しまれています。

藤井寺から次の十二番・焼山寺までは、往古の姿を留める「へんろ道」が通じています。弘法大師が修行中に休息したという遺跡や石仏、標石が残される貴重なへんろ道をぜひ歩いてみてください。

【藤の古木】
弘法大師が悪疫退散の祈願のあとに植えたと伝えられます。4月下旬から5月上旬にかけ五色の藤が咲きほこります。

【雲龍の天井画】
本堂にあります。1977年、地元出身画家の作で30畳ほどの巨龍です。

【その他見どころ】
・遍路ころがし（道が険しすぎて巡礼者が転んでしまうという意味。次の12番札所までは細く嶮しい山道で約13キロ。男8時間、女9時間かかるといわれる遍路の難所です）