第21番札所 舎心山 常住院 太龍寺

しゃしんざん じょうしゅういん たいりゅうじ
【寺の歴史】
「西の高野」とも称されるお寺です。四国山脈の東南端、標高618メートルの太龍寺山の頂近くにあります。樹齢数百年余の杉が天空にそびえ、境内には古刹の霊気が漂います。弘法大師が19歳のころ、境内からさらに南西約600メートルにある「舎心嶽」という岩上で、100日間の虚空蔵求聞持法を修行しました。この言い伝えは大師が24歳のときの著作『三教指帰』に記されており、よく知られています。虚空蔵求聞持法は、真言を百万遍となえる最も難行とされる修法です。弘法大師青年期の思想形成に大きな影響を及ぼしているとされます。

縁起によると793年、桓武天皇(在位781-86)の勅願により開創されました。本尊は弘法大師が彫像した虚空蔵菩薩像です。山号は修行地の舎心嶽から、また寺名は修行中の大師を守護した大龍(龍神)にちなんでいます。

皇室や武家の尊信が厚く、平安時代(794-1185)の後期には子院12ヶ寺をもつほどに栄えました。しかし天正の兵火からは逃れられませんでした。また、江戸時代(1603-1868)になっても幾度も罹災し、荒廃の途を余儀なくされていますが、その都度ときの藩主の保護をうけ再建されています。仁王門は鎌倉時代(1192-1335)の建立です。他の建物は江戸時代以降に復興しています。四国巡礼者にとって、屈指の難所であったこの山岳寺院にロープウェーが開通したのは1992年。徒歩では、中腹の駐車場から坂道を登るのに30分も要していました。大師の修行時代をしのばせる迫力、風格をそなえた古刹です。

【舎心嶽】
海境内から徒歩十五分ぐらい。岩の上にはブロンズ製の「求聞持修行大師像」が東向きに坐っています。舎心は「心がとどまる」の意で、大師の気迫を感じさせます。画像1

【ロープウェー】
全長2,775メートルで西日本最長。101人乗り、所要時間約10分です。画像2

【その他見どころ】
・丁石(南北朝時代のもの。18基残っているうち、11基が徳島県文化財指定)
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住所 〒771-5173 徳島県阿南市加茂町竜山2
電話番号 0884-62-2021
アクセス ・徳島バス丹生谷線「和食東」下車→徒歩約10分→「太龍寺ロープウェイ」
・徳島市内→車で約50分、第22番へ約11km
・JR桑野駅前から国道195号線を西へ。右手に喫茶店(カントリーロード)を見て、次の信号を右折すれば太龍寺ロープウェイ乗り場に着きます
駐車場 ロープウェイ利用の場合 無料 普通150台/マイクロ10台/大型10台
ロープウェイを利用しない場合 普通50台(500円)※マイクロ・大型は麓まで(境内まで1.5キロ)
駐車場代 無料
備考 宿坊なし