第20番札所 霊鷲山 宝珠院 鶴林寺

りゅうじゅざん ほうじゅいん かくりんじ
【寺の歴史】
標高470メートルの鷲が尾の山頂に当寺があります。境内からは紀州や淡路の山峰、はるかに太平洋を眺望できます。樹齢千年を超すような老杉、檜や松の巨木が参道を覆っており、寺門は静謐ながら隆盛の面影をしのばせます。寺伝によると798年、桓武天皇(在位781-806)の勅願により、弘法大師によって開創されました。弘法大師がこの山で修行していたとき、2羽の白鶴がかわるがわる翼をひろげて老杉に舞い降り、小さな黄金のお地蔵さんを守護していました。この情景に歓喜した弘法大師は、近くにあった霊木で高さ90センチほどの地蔵菩薩像を彫造。胎内にそのお地蔵さんを納めて本尊とし、寺名を「鶴林寺」にしたといわれます。

また、境内の山容がインドで釈尊が説法をしたと伝えられる霊鷲山に似ていることから、山号は「霊鷲山」と定められました。以来、平城天皇、嵯峨天皇、淳和天皇と歴代天皇の帰依が篤く、源頼朝や義経、三好長治、蜂須賀家政といった武将にも深く信仰されます。七堂伽藍の修築や寺領の寄進をうけ、寺は大きく栄えました。阿波一帯の寺が兵火に遭遇した天正の兵火にも、山頂の難所にあるためか難を免れています。「お鶴」「お鶴さん」などと呼ばれ、山鳥が舞う大自然そのままの寺です。

【三重塔】
海抜470mの山容を三段にわたって伽藍が配置されています。その東側に大樹に囲まれた三重塔が天空にのびています。この塔は1817年に建てはじめ、1827年に基本構造が完成しました。特徴は勾欄にあります。初重は擬宝珠、二重ははね、三重に逆蓮柱を用いて固めています。落慶儀式には庭儀曼荼羅供の大法会が執り行なわれました。現在も当時の儀式用具を完備し、設計図面も残っています。徳島県唯一の三重塔として、1952年に県指定重要文化財となりました。

【遍路道】
山裾より急な遍路道を約4km、1時間半ほど登れば山門に辿りつきます。この遍路道には21箇所の石柱が建っていて、お遍路さんの道しるべとなっています。この標石柱を「丁石」といいます。本堂を起点に一丁石から十一丁石まで、貞治2年(1362)、応安(1368-1375)、永和(1375-1379)、明徳(1390-1394)の元号が刻入されています。敷石道を歩みながら室町時代(1336-1573)の弘法大師信仰に思いをはせましょう。また、20年に及ぶ檀家ボランティアによる参道保全活動により、1998年に国史跡に指定されました。

【その他見どころ】
・波切り地蔵
・地蔵菩薩立像
・丁石(鶴林寺の室町時代の年号を刻んだ丁石が、本堂から遍路道沿いに11基残っている。1丁は約109メートル。徳島県最古の丁石)


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住所 〒771-4303 徳島県勝浦郡勝浦町生名鷲ヶ尾14
電話番号 0885-42-3020
アクセス JR徳島駅前から国道55号線を南へ。江田町交差点を右折して県道16号線を勝浦川沿いに走ります。大イチョウの木が見えたら、標識に従って左折します。
駐車場 あり
駐車場代 志納金制