第6番札所 温泉山 瑠璃光院 安楽寺

おんせんざん るりこういん あんらくじ
【寺の歴史】
『四國遍禮霊場記』(1689)には「硫黄の神化を人みな仰ぎ寺院繁栄に至り、十二宇
門甍を接し鈴鐘のひびき絶える時なし…」と記されています。その昔は阿讃の山麓から
現在地まで寺域が点在していました。戦国時代の兵火(1576-1586)や明治政府の神仏
分離令(1868)など、動乱の時期を経て現在に至っています。

ここ、引野村には古くから温泉がありました。安楽寺は弘法大師が温泉湯治の利益を伝
えた跡地にあり、山号も温泉山といいます。現在も大師堂前から温泉が湧き出ていま
す。

安土桃山時代(1573-1603)に阿波藩祖・蜂須賀家政公が駅路寺と定め、四国遍路や旅
人の宿泊、茶湯接待の施設を置きました。その記録である『駅路寺文書』(1598)が
今も残されています。以来、宿坊は 400 年の歴史を有します。江戸時代(1603-1868)
には、山門に蜂須賀家の家紋が入ったぼんぼりが許され、寺域は殺生禁断とされまし
た。茅葺き屋根の方丈は、250 年前に蜂須賀公により寄進されたもので、質素ながら
堂々とした木造建築です。

愛知県尾西市の水谷しづさん(当時 49 歳)は、脊髄カリエスの難病にかかり床につい
ていました。当寺の住職は夫の繁治氏に、病床で苦しむしづさんと四国遍路するようす
すめました。彼らは従いました。すると不思議にも、巡礼途中にしづさんの難病が快癒
したのです。現在の本尊・薬師如来像は、その報恩のために奉納されたもので、43 セ
ンチほどの古来の本尊は胎内仏として納められています。1962 年のことでした。

安楽寺の各御堂には、運慶・快慶の流れをくむ京都大仏師・松本明慶師(まつもとみょ
うけい:1945-)が、無名のころから彫ってきた仏像六十体が祀られています。大師堂
の弘法大師像はじめ、愛染明王、不動明王などです。また、性霊殿には胎蔵曼荼羅(た
いぞうまんだら)・金剛界曼荼羅がかけられ、石の壁には「五筆和尚」と称された弘法
大師のさまざまな筆法の書が刻まれています。

【多宝塔】
内部は極彩色の仏画や彫刻で、浄土を表現しています。周囲では八十八ヶ所のお砂踏が
できます。画像 1

【さかまつ】
大師堂には、弘法大師が植えた厄除けの「さかまつ」があります。この松は、弘法大師
42 才―男性の大厄(災厄といわれる年)―の時、猟師の弓矢から大師を守ったと言わ
れています。

【その他見どころ】
・山門の仁王像(京都大仏師、松本明慶師の作。本堂前の拝殿には弘法大師の一代記
が彫刻されています)
・宿坊(400 年の歴史を持つ宿坊(宿泊施設)には、温泉山の名にふさわしい天然温
泉があります。お遍路さんに好評)

【年中行事】
・結縁灌頂(仏様とご縁を結ぶ儀式:◎要予約)
日時:1 月第 2 日曜日(予定)
・教学講習会(弘法大師の教え・仏教の教えを学ぶ勉強会:◎要予約)
日時:1 月後半(4 泊 5 日)
・大祭(盆踊り施餓鬼供養)
日時:8 月 20 日
・星祭り護摩供養
日時:12 月 31 日〜2 月 3 日
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住所 〒771-1311 徳島県板野郡上板町引野字寺ノ西北 8
電話番号 088-694-2046
アクセス ・徒歩:地蔵寺-郵便局前-神宅橋-谷川橋-鍛冶屋原駅跡-松島神社-竹重橋-安楽寺約1時間10 分、4.7km
・公共交通機関:地蔵寺から南へ徒歩約5分「羅漢」から徳島バス鍛冶屋原行き乗車約15分「東原」下車西へ徒歩約7分
・車:土成インターチェンジ出口を右折、次の信号を右折、県道139号線を東へ3.5km 行くと右手にあります
駐車場 普通80台・大型バス10台
駐車場代 無料
備考 宿坊:あり(300人・温泉あり)