第4番札所 黒巌山 遍照院 大日寺

こくがんざん へんじょういん だいにちじ
【寺の歴史】
徳島と香川の県境にある阿讃山脈から、黒谷川が南へ流れています。その黒谷川に
対して標高 70mほどの尾根が張りだしており、伽藍がその尾根に置かれています。

大日寺という名前の由来は、815 年、弘法大師がこの地で大日如来を感じとり、約
5.5cm の大日如来像を彫造したことにあります。『四國遍礼霊場記』(1689)では
「かつては立派な堂塔が並んでいたものの、歳月の経過とともに荒廃していった」
と記されています。その後、『阿波史』(1815)によると、応永年間(1394-
1428)松法師という人物に夢の託言があり修復されたといいます。その後、また荒
廃しましたが、1649 年に徳島の二代目藩主・蜂須賀忠英が本堂一宇を建立し、天
和・貞享年間(1681-1688)に再興しました。その後も、五代目藩主蜂須賀綱矩
1692 年にが、11 代目藩主蜂須賀治昭が 1799 年に寺を修復しました。

また、この地は三方を山に囲まれた谷あいで黒谷と呼ばれています。このことか
ら、当寺は「黒谷寺」と地元で呼ばれることもありました。山号である黒巌山もこれ
に因んだようです。現在、京都の東寺の末寺としてありますが、それは 1887 年以
降のこと。それ以前は真言宗御室派に属していました。

僧堂の熨斗瓦や入口の透かし欄間に寺紋の十六菊紋が見受けられます。

【鐘桜門】
鐘桜門は欅材を用いており二層からなっています。屋根は入母屋造りの本瓦葺。大
棟には東寺の寺紋が取り付けられています。再建時には、前山門にあった梵鐘が上
層に移築されました。伽藍南側にあります。

【西国三十三観音像】
西国三十三観音霊場にまつわる御像を安置しています。1790 年前後に、当寺周辺に
限らず西日本各地の信徒から寄進を受けて建立されました。

【その他見どころ】
・木造大日如来坐像御尊体(像高 56cm、坐奥 32.7cm)
この大日如来坐像御尊体は、通常秘仏として護持されている御本尊です。過去には
御厨子が開扉されたことはありませんでした。膝裏の墨書によると、1407 年に造立
されました。

・ 大日堂(本堂)
棟札によると 1649 年に建てられました。修復を示す棟札によると 1799 年に修復さ
れています。和様を基調としますが、粽柱、鏡天井など、禅宗様式も混在する折衷
様式の建物です。密教本堂の形態をもつ点で貴重であり、また、蜂須賀家の紋もあ
る格式も高い建築物でもあります。

・ 弘法大師堂
寺伝によると、1863 年 9 月に大師堂は建てられました。様式からも江戸時代
(1603-1868)末期建築と考えられます。

・ 青面金剛尊像
木造の青面金剛尊像です。厨子に安置され、1812 年に丹波国のある人物から寄進さ
れたと示されています。

・ 弥勒菩薩尊像
江戸時代(1603-1868)に光明真言百万遍読誦記念として造立されました。

・ 手水舎 「蛤水」
手水舎の砂岩をくりぬいて造られた手水鉢に、1822 年に奉納されたと書かれていま
す。かつては湧水を引き込んでいましたが、白濁していたことから「蛤水」と呼ばれ
ていました。

・ 八幡祠
境内内池西側に現存しています。1800 年の『四国遍礼名所図会』に描写されている
ものと同じ祠だと考えられています。
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住所 〒779-0113 徳島県板野郡板野町黒谷字居内28番地
電話番号 088-672-1225
アクセス 藍住インターチェンジから、県道1号線、県道12号線を板野・上坂町方面へ。県道34号線と交差する道を右折。バイパスや高速道路の下を直進します。
駐車場 普通20台・マイクロバス/大型5台 午前7時~午後5時
駐車場代 無料