第35番札所 醫王山 鏡池院 清瀧寺

いおうざん きょうちいん きよたきじ
【寺の歴史】
土佐市の北部、醫王山の中腹にあります。ここは「土佐和紙」「手すき障子紙」で知られる高知県の紙どころです。その源をたどると弘法大師と因縁浅からぬ霊場であることがわかります。みつまたをさらし和紙を漉く重要な水の源泉として、信仰の厚い札所です。

縁起によると、723年に行基菩薩が行脚していたところ、この地で霊気を感得しました。行基菩薩はただちに薬師如来像を彫造。これを本尊として、堂舎を建て、「影山密院・釋本寺」という名で寺を創建したと言われます。弘法大師が訪ねたのは弘仁年間(810-24)のころ。本堂から300mほど上の岩に壇を築くと、五穀豊穣を祈願して閼伽井権現と龍王権現に一七日の修法をしました。満願の日に金剛杖で壇を突くと、岩上から清水が湧き出て鏡のような池になったといいます。そこで山号や院号、寺名を現在のように改め、霊場と定めました。

この水は、麓の田畑を潤すことはもとより、みつまたをさらし、紙を漉くうえで重宝されています。やがては土佐和紙産業をおこすことにも貢献しています。

寺伝では、平城天皇(在位806-09)の第三皇子が弘法大師の夢のお告げで出家し、真如と名のりました。真如はこの寺を訪ね、息災増益を祈願して、逆修の五輪塔を建立しました。後に入唐もしている、大師十大弟子の1人です。また、江戸時代(1603-1868)には土佐藩主の帰依が厚く、寺領百石の寄進を受けました。七堂伽藍を備え、末寺10数ヶ寺をもつ土佐路の大寺だったといいます。

厄除け祈願の名刹で、そのシンボルが本堂の屋根より高い大きな薬師如来像です。

【仁王門の天井画】
1900年、清瀧寺の楼門を建立した際、久保南窓*の描いた天井画「蛟竜図」「天女図」の二組が奉納されました。竜は中央二面に、天女はその左右に描かれています。墨痕鮮やかで流麗闊達な筆致に極彩色が施されており、近郷天井画の白眉です。近年「天女図」は獣害を受け、宝物館に移管されました。画像1
*久保南窓(1848-1917)は弘瀬洞意や青木南溟に学びました。南画も描いており、地方画家としての名声を博しました。

【厄除け薬師如来立像】
本堂前にある、台座を含めると高さ15mの像です。1933年、製紙業者により寄贈されました。台座の中で88段の戒壇巡りができます。

【その他見どころ】
・本尊
・逆修塔(生前に自分を追善供養する塔。今は「不入の山」とされている)


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住所 〒781-1104 高知県土佐市高岡町丁568-1
電話番号 088-852-0316
アクセス 土佐インターチェンジから国道56号線を左折。次の信号を右折して直進。約3km。
駐車場 なし