第47番札所 熊野山 妙見院 八坂寺

寺の歴史
浄瑠璃寺から北へ約1キロと近い八坂寺との間に、田園のゆるやかな曲がり道をたどる遍路道「四国のみち」があります。遍路の元祖といわれる右衛門三郎の伝説との縁も深いです。

修験道の開祖・役行者小角が開基とされることから、1,300年の歴史を有する古い寺です。寺は山の中腹にあります。701年、文武天皇（在位697-707）の勅願により伊予の国司、越智玉興公が建立しました。このとき、8ヶ所の坂道を切り開いて創建したこと、また、ますます栄える「いやさか（八坂）」が寺名の由来とされます。

弘法大師がこの寺で修法したのは百余年後の815年のこと。荒廃した寺を再興して霊場と定めました。本尊の阿弥陀如来坐像は、浄土教の論理的な基礎を築いた恵心僧都源信（942-1017）の作と伝えられます。その後、紀州から熊野権現の分霊や十二社権現を奉祀して修験道の根本道場となり、「熊野八坂寺」とも呼ばれるようになりました。このころは境内に12坊、末寺が48ヶ寺と隆盛をきわめ、僧兵を抱えるほど栄えました。

しかし、天正年間の兵火で焼失したのが皮切りとなり、再興と火災が重なって末寺もほとんどなくなり、寺の規模は縮小の一途をたどります。現在、寺のある場所は、十二社権現と紀州の熊野大権現が祀られていた宮跡です。本堂、大師堂をはじめ権現堂、鐘楼などが建ちならび、静閑な里寺の雰囲気を漂わせています。

本堂の地下室には、全国の信者から奉納された阿弥陀尊が約8,000祀られています。

その他見どころ
 閻魔堂（本堂と大師堂の間。「極楽の途」「地獄の途」があり、極楽には美しい浄土が、地獄には餓鬼道、畜生道、修羅道などが描かれている）
 救いの手（本堂にあがる石段の下から10段目の左側。「九難を去る救い」の手とされ、足や目の病に効験ある話が伝わる）
 宝筺印塔（鎌倉時代の石造層塔で、庫裏前の庭園にある寺宝）
 不動三尊（毎年4月29日に全国より修験者を集め、柴燈大護摩供火生三昧火渡り修行を行っている）

年中行事
柴燈大護摩供火生三昧火渡り修行
日時：毎年4月29 日
霊峰石鎚山登拝行
日時：毎年7月（2回）・10月（1泊2日）
※毎年一般参加者募集