第34番札所 本尾山 朱雀院 種間寺

【寺の歴史】
土佐湾の沿岸は、四国霊場の中心地のようです。種間寺もその一つで、土佐湾の航海に結びついた興味深い縁起が伝えられています。

6世紀のころです。577年、百済の皇子から敏達天皇へ、仏師や造寺工を贈る旨の勅書が多くの経論とともに届きました。彼らが渡来したのは用明天皇（在位585-87）の時代、大阪・四天王寺の造営にあたりました。その帰途の航海中です。土佐沖で強烈な暴風雨におそわれて、種間寺が建つ本尾山にほど近い、秋山の港に寄港しました。彼らは、海上の安全を祈って約145㎝の薬師如来坐像を彫造し、本尾山の山頂に祀りました。これが寺の起源とされています。

200年後の弘仁年間（814-824）、弘法大師は唐から帰朝してこの地を訪ねました。弘法大師は前述の薬師如来像を本尊として安置し、諸堂を建てて開創しました。その折に唐からもち帰った種子の米、麦、あわ、きび、豆またはひえの五穀を境内に蒔いたことから、種間寺と名付けたといわれます。天暦年間（947-57）には、ときの村上天皇（在位946-67）から「種間」の勅額をいただいています。また、土佐藩主の山内公からの加護が厚く、広大な田畑や山林を寄贈されており、堂舎の修築も行われています。ただ、廃仏毀釈の難ではやはり容赦がありませんでした。

本尊は「安産の薬師さん」です。また、底の抜けた柄杓に人気があり、信者が多いです。

【底抜け柄杓】
当寺では二夜三日の安産祈祷をして底を抜いた柄杓を、お札を添えて妊婦に授けます。妊婦は柄杓を床の間に飾り、無事に安産すれば寺に柄杓を納めます。

【本尊】
肉付きのよいどっしりとした体で、威厳のある表情の薬師如来坐像です。国指定重要文化財。

【その他見どころ】
・手水鉢（町内最古で町の指定文化財。1677年に造られたもの）

【年中行事】
・本尊御開帳
日時：正月三が日　3月8日