持続可能なまちづくり~愛媛県大洲市の取り組み~

2017年、大洲市では人口減少や高齢化に伴い、城下町に残る古民家の取り壊しが進み、風情ある町並みが消失する危機的状況にありました。このまま何もしなければ、町の景観が失われてしまうことを危惧した地元の若者が中心となって、空き家の清掃や簡単な維持修繕などのボランティア活動を開始し、清掃した古民家を活用したイベントも開催しました。
同時期に、市役所職員と地域金融機関行員による勉強会が立ち上がり、専門家によるアドバイスを受けながら、大洲のまちづくりの仕組みをつくり上げていきました。

2018年にバリューマネジメント株式会社、株式会社NOTE、伊予銀行、大洲市による官民連携協定を締結し、役割分担を行い、町家・古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりを進めることとしました。同年には、市の全額出資により大洲の観光まちづくりを担う、地域DMOである(一社)キタ・マネジメントが組成されました。

2019年には、大洲市観光まちづくり戦略会議にて「大洲市観光まちづくり戦略ビジョン(第1期)」が策定され、官民連携による町家・古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりについての計画や方針が定められました。

2019年から2023年にかけて、官民の連携による歴史的資源を活用した観光まちづくりの取組によって、多くの建物が再生されました。その代表的な改修事例が「NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町」です。まちに点在する古民家をホテルや店舗として再生・活用し、まち全体が一つのホテルである「分散型ホテル」事業を展開しています。また、日本初となる木造天守での城泊事業「大洲城キャッスルステイ」が造成され、まちの宣伝のみならず、持続的な伝統文化の保存・継承につながる事業となっています。
一方、急速に町の改修が進んだため、住民とのコミュニティ形成が希薄となることを懸念し、城下町の事業者向けにまちの取組みや新たな学びの場として2022年より「大洲まちづくり大学」を月1回開催し、地域住民向けにまちづくりについて協議ができる場として「ディエゴ・アカデミア」を定期的に開催しています。そして、地元の小・中・高生にまちづくりの視点を学んでもらう「観光教育」をキタ・マネジメントが実施し、観光やまちづくりについて理解促進を図っています。
以上の取組みが評価され、「持続可能な観光地TOP100選」では2022年と2023年に2年連続選定され、2023年3月には「ザ・グリーンデスティネーションズ ストーリーアワード」文化・伝統保全部門にて世界1位を獲得しました。

2024年には、これまで取り組んできた伝統文化の保全・活用に加え、自然保護・社会福祉・気候変動対策などについて根本的な議論が始まり、自然環境や地元の方が観光客と共生できる新たな計画策定の検討や、市民や地元企業者向けサステナビリティ研修など、持続可能なまちづくりの取組みを行っています。
これらの取組みが、総合的に評価され「世界の持続可能な観光地アワード」にてシルバーアワードを受賞しました。
まだまだ大洲市として取組むべき課題は多いですが、より良いまちになるよう今後も持続可能なまちづくりの取組を推進していきます。

SDGsの目標

  • 8.働きがいも経済成長も
  • 11.住み続けられるまちづくりを
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住所 愛媛県大洲市大洲649番地1
電話番号 0893-24-7060
お問合せ先一般社団法人キタ・マネジメント
担当者名ディエゴ・コサ・フェルナンデス
メールアドレスkita-management@kita-m.com